2回目からの続き。前回までは先手のアヒル戦法に対して、後手が居飛車で対応してきた場合を説明した。今回は後手が振り飛車で対応してきた場合について。
基本図A
基本図Aから後手は「△3二飛」と三間飛車にしてきた。これに対して先手が「▲3六飛」として3四の歩を取ろうとすると、「△2二角」と引いて3四歩取りを防がれてしまう。
ここでは先手は大人しくアヒル囲いの完成を急ぐことにする。先手の次の一手は「▲9六歩」。この端歩を後手が受けるか受けないかでその後の展開が大きく変わってくる。
基本図B
基本図Bからは、
①△9四歩:端歩を突き返してくる場合
②△4二銀:端歩を突き返してこない場合
の2パターンに分けて説明していく。
基本図Bから△9四歩
後手が△9四歩と端歩を突き返してきた場合は、後手は美濃囲いに組むことが多い。ここでは後手が美濃囲いに組むとして進めていく。
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— カイラギ@はてなブログ (@tokyonosuken) 2018年5月4日
結果図A
先手はアヒル囲いに組んだ後、端攻めを狙う。途中角香交換をして一見先手が損のように思えるが、アヒル戦法の陣形は角を打つスペースがないので大丈夫だ。
それに▲9六飛と飛車を9筋に動かしたあたりから、後手は先手の端攻めを受けきれなくなっている。そのまま端に殺到して食い破り、結果図Aでは先手十分の展開だ。
基本図Bから△4二銀
後手が△9四歩と端歩を突き返してきた場合は、後手は穴熊に組むことが多い。ここでは後手が穴熊に組むとして進めていく。
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結果図B
相手が穴熊に組んだ場合も、美濃囲い同様に端攻めを狙う。桂馬も使って端から殺到し、結果図Bでは先手勝ちの局面だ。
最後に
さて、ここまで3回に渡ってアヒル戦法について説明してきた。これまでの記事を読んで頂ければアヒル戦法について何となく分かっていただけると思う。正直アヒル戦法側にとって都合の良いように書いたところもあるのだが、基本的な狙い筋や理想的な展開についてはご理解いただけたのではないだろうか。
しかしいざ実戦でアヒル戦法を指してみると、なかなか研究の通りにいかなかったりする。これはアヒル戦法が矢倉や四間飛車などの一流戦法と違って定跡化されていなく、相手の対策も十人十色なところがあり、力戦調の将棋になりやすいからだ(だからこそ自分で研究する楽しみというのもある)。
アヒル戦法の概要についての説明はこれで以上になるが、今後も追加の研究についてや、自分の実戦から役に立ちそうな内容があれば、ブログ記事にまとめたいと思う(果たして需要があるのやら…)。と言うかアヒル戦法について記事にまとめている途中にも研究してみたい変化が見つかったので、(やる気があれば)まとめておきたいです…。
さあ、みんなもアヒル戦法でライバルに一泡吹かせようぜ!