昨日のことだ。僕はちょっとした小腹を満たそうと思ってロッテリアに行った。
来店時間はおやつ時。腹一杯食べる気はなく、夕食までの間が持てばいいやくらいの気持ちだった。
僕はロッテリアにほぼ行ったことがなく(たぶん中学生以来くらい?)、今のロッテリアのメニューなんて全く把握していなかった。
「でもまぁ、マクドナルドと同じような感じじゃね?」
僕はカウンターに敷いてあるメニュー表をたいして見ずに、ハンバーガーとアイスコーヒーを注文した。
マクドナルドがハンバーガー100円、アイスコーヒー100円だから、たぶんロッテリアでも合計300円くらいなんじゃないかと思っていた。
「490円です」
何を言っているのかすぐ理解できなかった。店員のその言葉に、度肝を抜かれたのだ。
想定していた価格を遙かに超えてきた。
「ち、ちょっと待ってください」
僕はそう言って急いでメニュー表を確認した。
だがメニュー表を見てもそれぞれの値段がよく分からない。クソッ、なんで初めて行ったファストフード店のメニュー表ってのはこんなにわかりにくいんだ!
僕が注文したアイスコーヒーが許諾されたってことは、ここのメニューにアイスコーヒーがあることが間違いないんだ。でもメニュー表にアイスコーヒーがどこに書いてあるか良く分からない。
え、本当に490円もするの? ここロッテリアでしょ?
「あの、ご注文は……」
店員がせかしてくる。僕も焦っているからよりメニュー表が読み解けなくなる。
このロッテリアのメニュー表が、自然とセットメニューに誘導する作りになっていて、「①バーガーを選ぶ ②サイドメニューを選ぶ ③ドリンクを選ぶ」の順に従って書いていた。
そんなものはどうでもいいから単品メニューだけ簡潔に教えてくれ!
何とかハンバーガーは見つけた。180円だった。でもなぜかアイスコーヒーがメニュー表のどこに書いてあるのか見つけられない。
そうこうしていると、「バーガー、ドリンクにポテトをつけると+80円」という文章を見つけた。
正直ちょっと小腹を満たしたいだけなのにこんなに金を払うのは正直悔しい。でもハンバーガーとコーヒーだけで490円も払うのはもっと悔しい。
「注文をセットに変更しても良いですか?」
僕は陥落した。ロッテリアのシステムを理解していない状態で店内に吸い込まれてしまった時点で僕の敗北は決定したのだ。
ちょっと小腹を満たしたいだけだったのだ。一番安いハンバーガーとコーヒーだけで良かったのだ。その結果が570円のハンバーガーセットである。
完全にロッテリアの術中にハマっている。よくよく計算してみたらアイスコーヒー1杯310円かよ。狂ってるだろ。
誰か教えてやれ。お前はスターバックスじゃない、有象無象のファストフード店だということを。
おいやめろ、アイスコーヒーをグラスに注ぐんじゃない。ファストフード店のコーヒーなんてペコペコのプラスチックカップでいいんだ。とにかく安くすることだけ考えてれば良いんだ。高級感のあるコーヒーが飲みたい人は清澄白河のオサレなカフエーへ行く。ここへは来ない!
そして席についてハンバーガーを食べた。一番安いバーガーだから正直美味くも不味くもない。敗北の味だ。僕は一体なぜこんなものを食っているのだろう。なぜロッテリアなんて店がこの世に存在しているのだろう。そんなことを思いながらバーガーを胃の中に捨てた。
そんな気分だからポテトもコーヒーも味わう気になれなかった。もう空腹を満たすためだけの作業だ。
こんな思いをするくらいなら通い慣れたマクドナルドに行けば良かった。いや、小腹を満たす程度コンビニにすれば良かった。ちょっと格好付けてロッテリアに行った自分が悪いのだ。助平心を覗かせた戒めなのだ。
東京、その正体は大魔境。