昨日夕食を食べに中華料理屋に行った。福しんというチェーン店だ。
僕はこの店が大好きで何度もリピートしている。来店すれば毎回クーポン券(次回ライス大盛り無料、味玉無料みたいなやつ)をくれるから、つい「今日も福しんでいいか」と足を運ぶ。
またこの店の冷やし中華は「クロレラ練り込み麺」というちょっと健康に良さそうな響きの麺を使っている。緑色で、食感も中華麺と比べてツルツルモチモチ感がアップしていて独特。言わずもがなうまい。大好き。
ただ池袋などの都心西部を中心に展開しており、幸楽苑や日高屋に比べて店舗数が少ないのが残念。少なくとも日高屋よりは美味いのに。
さて、昨日は「肉野菜炒め定食+クーポンで味玉」を注文した。これで690円。肉野菜炒めも味玉も普通に美味い。
更にこれに無料のおろしニンニクをぶっこむ、混ぜる、かっ込む。なんでにんにくってこんなに料理を美味くするんだろう?
さて、僕が肉野菜炒め定食に夢中になっている時、たまたま店内には客が僕一人しかいなかった。
そしてホールの店員は出入り口の方を向いてずっと立ちっぱなしだ。
何をするわけでもなく、ただただ直立不動で出入り口を見つめ続けていた。
僕はひたすらに肉野菜炒め定食を食らい 、店員はひたすらに出入り口を凝視する。
店内にはラジオがかかっていて、高級なハープと安いハープの音色聴き比べをするという、とても正気とは思えないプログラムを放送していた。
僕は肉野菜炒めを食べる。一方店員はドアを凝視する。次いで僕は漬物を食べる。すると店員はチラッと僕を流し見したのち、やっぱりドアに目線を戻す。
(座っとけばいいのに……)
僕はそう思った。
客が来れば立ち上がって接客するとして、来ない時くらい厨房に引っ込んで休んでればいいのに。
無駄に立ってたって疲労が溜まるだけで何の特にもならない。客に対して失礼という意識かもしれないが、その客がいないんだから別にいいのに。
そのときだった。
ガラガラー
ドアが開いて客が入ってきた。
やった。やっと僕以外の客が入ってきた。やっと僕と店員(注:東南アジア系男性)の2人の時間から解放される。
「イラッシャ…ア、テンチョー! オツカレサマデース!」
客じゃなくて店長だった!
店長は「ウス」と言い残しサッと店の奥に引っ込んでしまい、再び僕と店員(肌:浅黒い)だけの世界が訪れた。
静寂が、うるさい(?)
そのときだった。
ガラガラー
ドアが開いて客が入ってきた。
やった。やっと僕以外の客が入ってきた。やっと僕と店員(注:ロン毛)の2人の時間から解放される。
「スミマセーン! ネボウシチャッタヨー!」
違うこいつは客じゃない!
また別の店員(注:中国系女性)だ!
「ヨルニネボウッテ、ドウイウコトヨー(笑)」
確かにそうだ。核心をついているぞ店員A(東南アジア系男性店員のこと)!
まぁしかし驚くべき点はそこではない。
恐らく遅刻しているであろう店員B(中国系女性店員のこと)を、店員Aは笑って許したのだ。
なんて寛容……!
なんて優しい世界……!
怒りと悪意が渦巻く現代日本の中で、この福しんの店内だけは暖かな人間の血が流れている(あとハープの音色も)。
もう僕が言えることは一つだけ。
店員A、暇な時は座って休んでいてくれ。
直立不動のアンタ、正直怖いよ……。