久しぶりに将棋の話。
以前「アヒル戦法」や「中飛車」についての記事を書いたが、今回は右玉(みぎぎょく)戦法について。
最近右玉にハマっててネット将棋でよく指しているんだけど、今日ちょうど右玉らしい将棋がさせたので紹介したいと思う。
目次
右玉とは何か
棋譜紹介に入る前に、まず右玉とはどのような戦法か簡単に紹介したいと思う。
右玉とは以下の図のように、居飛車だが玉を右に囲った形のことを言う。
通常居飛車では、「飛車(攻撃陣)を右に、玉(守り)は左に」というのが一般的だ。加えて「攻めは飛車角銀桂香、玉の守りは金銀三枚、玉飛接近すべからず」の格言に従って陣形を組むものだ。
しかし右玉の陣形は違う。玉と飛車が隣接しているし、玉の守りは金銀二枚。そして攻撃陣が無い。将棋の常識とかけ離れた陣形…
ロマンを感じないだろうか…?
そしてこんな陣形に何のメリットが有るのかと言うと…書くと長くなるので気になった方は調べてみてください。
実戦譜
例のごとく棋譜は「将棋.io」に上げてみました。よろしければご覧ください。
(級位者同士の対局なので悪手緩手は大目に見てください)
以下、ハイライトだけ紹介する。実践は僕は後手だったので、見やすいように手前を後手としています。
↓僕(後手)は右玉にしたのだが、実は相手(先手)も右玉。相右玉の展開になった。
ここから相手は四間飛車(6筋)に振り直し、後手玉の玉頭戦に突入。善戦虚しく後手の右玉は崩壊してしまった。
↓紙のように脆い右玉…
アッという間に裸玉になってしまった。ここだけ見ると「なんだ右玉弱いじゃん」と思うかもしれないが、実は右玉の真価はここからなのだ。
普通の囲い(金矢倉や美濃囲い)は囲いが崩壊するともう終盤なのだが、右玉は囲いが崩壊してからが本番。とにかく左へ左へ逃げていくとそこには何があるだろうか?
↓なんと左側に新たな囲いが!?
そう、開戦してからずっと盤面の右側ばかりで戦っていたので、後手の左陣は完全に遊んでいた。しかし無駄になっていたわけではなく、終盤になって生きてきた。これこそ右玉の恐ろしさ、そして面白さである!
そして後手玉もここまで逃げてくればそう簡単には詰まされない。あとはゆっくりと攻めていけばいい。
↓最終的に後手の勝利
まとめ
ここまで書いておいてアレだけど、正直右玉は実践的に勝ちやすい戦法ではない。プロの採用率も低く、アマチュアの一部のマニアしか使っていないような状況だ。
しかし穴熊などの玉を固める展開の多い現代将棋において、この薄さ脆さは逆に新鮮!
相手の攻めを体一つでスルスルとかわしていくスリル…! 生き延びるか討ち死ぬかのギリギリの攻防…! 勝つときはギリギリで負けるときは大差…!
そんな右玉が僕は大好きです。
↓過去記事